小説版『黄色の花の物語』に登場する、黒髪ロングウェーブと青い目を持つ浅黒い肌の二十代女性。
鴉と同じく、南大陸からの侵攻者。
青いドレスとハイヒールを装備した射手。
本名はティゲルニーア・バルバトロス。
見た目は高位貴族の令嬢にも引けを取らない妖艶さながら、身の丈ほどの弓矢を駆使する剛腕な戦士。
東大陸の最高戦力に当たるダンデリオン=グローリア、グローリア=シュバイツァー、グリューエル、リブロムらを自らの獲物と定め、一対一の戦いを熱望している戦闘狂。
言葉遣いが時々おかしいのは、彼女が鴉とは別のならず者的犯罪組織に囲い込まれていた孤児だったから。マッケンティアと似た色彩を持つ整った容姿が、欲を満たす道具として認定されていたもよう。南大陸の国の言葉もまともに喋れない状態だったのだが、鴉に拾われていろいろ学んだ結果、会話に困らない程度は話せるようになった。
汚い言葉を使ってしまうのは、彼女の周りに居た男性達の影響。普段から聞いていた言葉だから、深く考える前に喉を突いて出てしまうらしい。
自分自身がそう言われ続けてきたから、同じような状況にあったオーリィードをそう表現することに全く抵抗が無い。鴉もそれは解っていて、だからこそティグ自身を貶める発言だからやめなさいと遠回しに指摘している。もちろん、一番はオーリィード(つまりは鴉自身)を侮辱している事にご立腹なんですが。
保護者兼教育係的立場となっている鴉には、やってる事もやりたい事も犯罪組織の粗暴な連中と変わりないくせに紳士ぶって犯罪組織の連中を見下している辺りで、特に強い嫌悪感を抱いている。
読み書きが不得手な為、小説の洗脳は受けてないが、周りに居た大人達の影響で立派な独善主義に育っており、欲しいものは躊躇いなく手に入れようとするし、それが周りにどんな影響を与えるかなんて全く考えないし、悪いことだとは微塵も思っていない。自分がされてきた事も、自分がされてきた事なんだから、自分が周りにそれをしても良いと本気で考えている。ただ、自分の目的を邪魔するのだけは許せないタチ。
育ちのせいで他人への好意というものが全然理解できておらず、何かとオーリィードへの好意を振りかざす鴉が不気味で仕方ない。し、理解したくもない。
なんだかんだ言って寝食共に鴉の世話にはなっているのだが、鴉自身は学を修めろ、身だしなみに気を遣えなどと口うるさく面倒くさい事ばかり強要してくるので、本当に嫌い。同じ獲物を狙っているところも気に食わない。
なんかこう、野生児っぽい印象。
彼女は鴉に拾われた時、相手に貴女を好き放題する自由が約束されていたのだから、貴女が彼らを自由にしても許されるのですよ、と言われ、彼女自身の手で組織を壊滅させています。
鴉に拾われたのも、付いてくるなら衣食住は保証すると言われたから。お腹が空いていたから、今後も食欲を満たす為に付いていっただけ。ご飯をくれなくなったらいつでも離れていくつもりでいます。なにせ鴉の言動は本気で気持ち悪いと思っていますので。
彼女の中には善悪の境目が存在しません。自分がされた事は誰にでも行う自由があり、当然自分が行っても咎められる理由は無いと、疑いも持っていないのです。だから、犯罪組織の連中には恨みも憎しみもないし、彼女にしてみれば日常の一コマでしかありません。壊滅させたのは、お腹が空いていたから。お腹いっぱいのご飯を食べたかったから。
このままここに居てもお腹いっぱいになる日は来ないと本能で察していたから、邪魔に感じて今後の関わりを絶っただけです。
お腹いっぱいにしてくれるなら誰にでも付いていくし、大抵の事はなんでも受け入れます。鴉の言動は気持ち悪いけど、お腹いっぱいにしてくれるから目を瞑ってる感じ。
感謝も何も無い、生粋の生存本能の塊みたいな女性です。