結構書き込んでいたのにファイル化はしてなかった迂闊ぶりに驚きました。
諸悪の根源役にして、登場時には既に亡人のキーパーソン。黄色の花の物語、主人公オーリィードの養父。
金色の髪と藍色の目を持つ、先代ウェラント国王。
本名はゼルエス・ミフティアル・ウェラント。
幼い頃から人並み外れて頭の回転が良く、そのせいで周囲の人間と話が噛み合わず孤立していた男性。
単独自力で真相に辿り着き解き明かしたものの、解決させられるだけの力も手段も持ち合わせていなかった為に、最善の方法として愚王への道を選ぶしかなかった人。
国王立位時にベルゼーラと断交したことにも、ロゼリーヌに手を出したタイミングにも、ロゼリーヌの夫オースティンを手に掛けた場所にも、オーリィードを閉じ込めた手段や場所にも全て理由があり、ダンデリオンへのメッセージで救難信号だったのだが、ダンデリオンが真相に気付けていなかったが為に護国面で警戒され、行動全てが空回りしていた。
模範的な貴族として振る舞っていたロゼリーヌとオースティンを毛嫌いしていながら、二人の血を継ぐ娘オーリィードが初恋相手という皮肉。初恋と失恋を同時に自覚して、もう誰でも良いから早くこの状況をどうにかしてくれと切実に願っていた。
真相に辿り着いてからは常に計算と打算で極めて冷静に、理性的に悪行を重ねていたゼルエスですが、一度だけ、感情任せで動いてしまった瞬間があります。感情任せというか、考えるより先に身体が動いてしまったと言ったほうが正しいでしょうか。
(作中に登場する場面ですが、想像していただきたいので、ここでも明言は避けます)
本来なら、あの瞬間にあれをやるべきではなかったんです。
求めていたものがあの瞬間には足りなかったのだとしても、あれは後々のことを考えれば全ての面において悪手でした。ゼルエス自身も理性では解っていたと思うんです。その時の為にシュバイツァー隊を作ってオーリィードを護らせていたんだから。
でも、焦りから咄嗟に動いてしまった。咄嗟に動いて、取り繕って、死にたくなるほど後悔しました。
だからこそ尚更、リブロムの影武者をしていたレクセルの刃を喜びと救済への多大な期待で受け止められたんですが。
人生を懸けて心を削り、死に物狂いでわざと悪い方向に頑張った結果、小説版ではグローリア=シュバイツァーのハッピーエンド確定で報われるのに、漫画版では……。
たくさんの人を惨い目に遭わせながら自分も惨い目に遭っている、大罪人でありつつ悲惨な人です。