小説版『黄色の花の物語』に出てきた、タキシードにシルクハットとステッキと仮面を装備する青年。
自らを鴉(カラス)と称する南大陸からの侵攻者。
十代後半から二十代前半のあどけなさを残す容貌と、艶々キラキラなキューティクル黒髪黒目がポイント。
本名はレイヴン・グニッヅ。
言動はおどけたものが非常に多く、太股に剣が刺さっても大してダメージを受けたようには見えない。
オーリィードに執着しているのか、彼女を気遣ったり、彼女を侮辱した仲間と思しき女性ティグを引きずり倒したりするなど、極端で恐ろしい一面もある。
彼が出現してくれたおかげで、書くつもりがない大陸間侵攻の情報が頭の中に溢れ返っています。
一晩明けたら裏の奥まで大体見えてきました。
だから……今、最終章なんだってば……。
↓ネタバレ注意報↓
どの道書く予定が無い話なので、現時点で私が判っている部分を書き残しておきます。
レイヴンの本当の出身は北部列島です。
幼児期に家族で中央大陸へ渡り、ベルゼーラが救助隊を派遣した国で生活していました。
自滅による体制崩壊時、人身売買で南大陸のとある富豪に引き渡され、ありとあらゆる暴虐を受けます。(この暴虐の内容が、足に剣を刺しても平然としていた理由になっているもよう)
その際に身に付けたのが、リブロムと同じ『力ある言葉』。レイヴンは『声』と表現しています。
彼は『声』で富豪を操り、富豪が持っていた全てを自在に操る術を修得。やがて富豪の傘下にある犯罪組織の情報から、マッケンティアの小説の存在やオーリィードの境遇を知ります。
オーリィードと自分の境遇を重ね合わせた彼は、オーリィードを自由にしてあげたい、オーリィードを自由にしてあげれば、自分も自由であることを証明できる……というような考えを抱きはじめました。
この辺りはまだちょっと不鮮明ですが、純粋にオーリィードの為を思っている訳ではなくて、自分が自由である為、オーリィードに自分が思う自由を押し付けようとしている、といった感じです。
他の人がそれで許されているんだから、自分がそれを許されない理由はないだろう……という、トンデモ理論。
まさに個別の事情や個体差や置かれてきた環境の違いをまっったく考えていない独善主義思考の塊。ですが、小説に洗脳されてそうなった訳ではなさそう。むしろ、小説の洗脳効果を知って利用している気がします。
大陸間侵攻が始まってからもあまり前面には出てきませんが、大陸軍全面衝突の影や裏でオーリィードの関係者にちまちまとちょっかいをかけては、オーリィードの心層に『こっちへおいでよ。欲求のまま自由に生きなよ』と揺さぶりをかけ続けます。
その結果は、今のところ二通り見えていまして。
なんらかの理由でレイヴンの望み通りアイオライト化するオーリィードと、徹底的に抗い続けてレイヴンを討ち倒すオーリィード達。
この違いは多分、アーシュマーの正体の違いかな、と推測してます。
ここもぼやーっとした断片しか見えてないので断言はできませんが、アーシュマーがリブロムであれば『力ある言葉』でレイヴンとオーリィードの接触をある程度は防げます。
逆にアーシュマーがレクセルだった場合、オーリィードは無防備な状態になります。小説の洗脳効果を打ち消す鍵が活躍するのは大陸間侵攻後何十年も後になるので、それまではオーリィードの精神を常に保護できる環境が無いのです。
そうなると、『力ある言葉』の多用で敏感になっているオーリィードの精神はレイヴンの『声』が操り放題ですし、『声』への恐怖感で隙だらけなので、わざわざ使わなくても、精神的に苦しむ状況を作って追い込めばいずれパキッと折れます。
漫画版だけでなく小説版でも足を引っ張りかねないのか、レクセル……。
アイオライト化を止めるには双子の娘達に頑張ってもらうしかなさそう。でも、アイオライト対双子の映像もぼんやり見えてるんですよね。どういうことなんだろう。
あと、最近頭の中でダンデリオン=グローリアがやたらとグリューエルの名前を連呼しているのも気になります。映像は無いのに、怒っているような、悲しげに叫んでいるような声だけがはっきりと聞こえるんですよ。映像が無いから、侵攻と関わりあるのか無いのかも不明。本当になんなんだろう、これ。
一つはっきりしているのは、レイヴンがオーリィード達の仲間になる結末だけはありえない、ということです。レイヴンは最後まで敵ポジション。
ただ、アイオライト化の是非に関わりなく、レイヴンはグロリアス=オーリィードの在り方に納得して受け入れはするみたいです。仲間にならないだけで。
敵は自分の心が決めるもの、が基本な逆さの砂時計とはちょっと違う結末かも知れません。
どうでもいい話ですが。
アイオライト=ウォーターサファイアとか、イタチと鴉と猛禽類の関係性とか、本文を書いてから知ったんですけど……誰でも知ってるような事なんでしょうかね?この辺。
昼行性の鴉でもフクロウ並の夜目は利く、の辺りは調べて知ったんですけども。
有名な話なら、知らず知らず耳目で捉えていたと納得できます。いつかどこかで聞いた話を忘れていただけなんだ。きっとそうに違いない。そうだと思っておきます。