梅見月ふたよの創作系裏話

創作物に関する独り言を連ねる日記帳

黄色の花の物語、第二話を修正しました

結章の第二話には、結章が後半へ向かうにつれて『あれ? 時期的におかしくないか?』と思って欲しかった所があります。それがこちら。

『そればかりか、実は社交界で旧知の仲だったリブロム王が、サーラ王女を不遇の境地から救う為に、愚王ゼルエスを倒しに来たのではないか、という美談じみた噂まで広まっている』

これ、マッケンティアが孤児院の子供達を通して流した噂が元になっているのですが、前述した通り、時期的に考えるとありえない内容なんですよ。

具体的に言うと『サーラが生まれたのは、ゼルエスが国王に即位した後なのだから、サーラとリブロムが社交界で知り合いになれるわけがない』んです。

だって『ウェラント王国とベルゼーラ王国は、ゼルエスが即位するとほぼ同時に断交していた』んだから。

そんな事、小さな子供達ならともかく、ウェラント王国やベルゼーラ王国の大人なら、覚えていて当然なんです。

国王がいきなり「大使の態度が気に入らない」の一言で、隣国との国交をスパッと断ち切ったんですよ? 普通なら暴動ものです。当時どれだけの職場喪失やら経済的損失やらが計上されたか……両国の混乱は想像を遥かに絶するものだったでしょう。死者や行方不明者もかなりの数が出た筈です。国境が突然閉鎖されたせいで引き裂かれた家族も、きっと一つや二つじゃない。

それを、たった二十年かそこらで綺麗さっぱり忘れる? ありえません。ゼルエスが首を取られるその日まで悪政で苦しめられ続けた国民に……親兄弟友人恋人知り合いを理不尽な理由で奪われた国民に、こんな大事件を忘れる余裕なんてある筈がなかったんです。

でも実際のところ、『王女を助けにきた隣国の王』という噂は、ウェラント国民に美談として広められ、受け入れられました。何故か。

両国民の大半の意識が、独善的な平和主義に作り変えられていたからです。

自分に害が及ばなければ何でも良い。自分に都合が悪い事は、自分に都合良く解釈して現実から目を逸らす。自分を守るためなら、誰がどうなろうと構わない。それが喪った親類縁者であっても自国の旗印であっても関係ない。『心優しい王様が、可哀想なお姫様を助けに来て、最終的には結婚して幸せになりました』というシナリオは、自分の生活を脅かすものではないから、多少の矛盾や違和感は『無かったことにして』目を瞑った。

『そればかりか、実は社交界で旧知の仲だったリブロム王が、サーラ王女を不遇の境地から救う為に、愚王ゼルエスを倒しに来たのではないか、という美談じみた噂まで広まっている』の一文には、マッケンティアの罪が凝縮されていると言っても過言ではありません。

 

今日はもんのすっごく眠いので、ここまで。

また明日も早朝に修正する予定です。

それでは、また。

おやすみなさいです。