梅見月ふたよの創作系裏話

創作物に関する独り言を連ねる日記帳

SS3【もしも黄色世界が魔法ありきだったら】

⚠︎実際の『黄色の花の物語』はファンタジー要素皆無です。この黄色世界は書いている人の妄想です⚠︎

 

『心のカタチ』

 

「私に触るな!」

 叫んだ瞬間には後悔していた。

 無意識のうちに凍らせた空気中の水分が、槍の形を取ってレクセルに襲いかかる。

 明らかに相手を傷付ける意図を持った鋭い先端が、身構えたレクセルの腕に触れる直前で見えない何かに弾かれ、床に転がった。

 風圧の盾。

 レクセルの防御本能が生み出した防衛魔法だ。

 レクセルに怪我を負わせなくて良かったと息を吐く反面、その防衛魔法が憎らしくて、悔しくて、身体中がざわつく。

「……触るな」

「オーリ?」

「私に触るな! 私は誰の手も借りない! 必要ない! もう放っておいてくれ!!」

「オーリ!」

 私に腕を伸ばすレクセルの脇をすり抜け、今度は自分の意思で、無数の氷礫を私の周囲に高速展開する。

 近付く者の皮膚を裂く、氷のやすり。

 接触を躊躇うレクセルの姿が目に浮かんで、胸の奥がジリッと焦げた。

 レクセルの風圧の盾は『撥ね返す』だけの完璧な護身術なのに、私の魔法は。私の心は。

 私は、どこまでも。

 唇を噛み、窓を開いて近くの木へ飛び移り、地面に降り立つ。

「オーリ!」

 焦りを隠さないレクセルの声を背後に聴きながら、郊外の方角へ駆け出した。

 私に向けられていた、強烈な殺気の残滓を追って。

       おわり。

 

この場合の魔法は、心が自然界に投影・具現化される物なんだと思います。魔法は内面が可視化されるものだと捉えるなら、自分を護る為に相手を傷付ける氷しか生み出せない魔法は、オーリィードにとって苦しみの素以外のなにものでもないでしょうね。

最終的には、飲み物に浮かべてみたり、カキ氷にしてみたりと活用してそうですが。

レクセルは風、オーリィードは氷、リブロムは水、ゼルエスは闇、サーラは光、ロゼリーヌは炎、シウラは土、ミウルは花、マッケさんも水かな。

タイトルも『黄色の花の物語』から『氷の魔法騎士の物語』に変わりそう。

やはり魔法系ファンタジーは好きです。楽しい。