⚠︎実際の『黄色の花の物語』はファンタジー要素皆無です。この黄色世界は書いている人の妄想です⚠︎
『心のカタチ』
「私に触るな!」
叫んだ瞬間には後悔していた。
無意識のうちに凍らせた空気中の水分が、槍の形を取ってレクセルに襲いかかる。
明らかに相手を傷付ける意図を持った鋭い先端が、身構えたレクセルの腕に触れる直前で見えない何かに弾かれ、床に転がった。
風圧の盾。
レクセルの防御本能が生み出した防衛魔法だ。
レクセルに怪我を負わせなくて良かったと息を吐く反面、その防衛魔法が憎らしくて、悔しくて、身体中がざわつく。
「……触るな」
「オーリ?」
「私に触るな! 私は誰の手も借りない! 必要ない! もう放っておいてくれ!!」
「オーリ!」
私に腕を伸ばすレクセルの脇をすり抜け、今度は自分の意思で、無数の氷礫を私の周囲に高速展開する。
近付く者の皮膚を裂く、氷のやすり。
接触を躊躇うレクセルの姿が目に浮かんで、胸の奥がジリッと焦げた。
レクセルの風圧の盾は『撥ね返す』だけの完璧な護身術なのに、私の魔法は。私の心は。
私は、どこまでも。
唇を噛み、窓を開いて近くの木へ飛び移り、地面に降り立つ。
「オーリ!」
焦りを隠さないレクセルの声を背後に聴きながら、郊外の方角へ駆け出した。
私に向けられていた、強烈な殺気の残滓を追って。
おわり。
この場合の魔法は、心が自然界に投影・具現化される物なんだと思います。魔法は内面が可視化されるものだと捉えるなら、自分を護る為に相手を傷付ける氷しか生み出せない魔法は、オーリィードにとって苦しみの素以外のなにものでもないでしょうね。
最終的には、飲み物に浮かべてみたり、カキ氷にしてみたりと活用してそうですが。
レクセルは風、オーリィードは氷、リブロムは水、ゼルエスは闇、サーラは光、ロゼリーヌは炎、シウラは土、ミウルは花、マッケさんも水かな。
タイトルも『黄色の花の物語』から『氷の魔法騎士の物語』に変わりそう。
やはり魔法系ファンタジーは好きです。楽しい。