梅見月ふたよの創作系裏話

創作物に関する独り言を連ねる日記帳

キャラファイル13『ダンデリオン=グローリア』

黄色の花の物語に登場するフリューゲルヘイゲン王国の国王であり、王の守護騎士でもある女性。

正体は初代宰相の血を継ぐハインリヒ家の末子で、成年を超えるまで同じ年に生まれた王子グエンの影武者を、そうとは知らずに務めていた。

本名はグローリア=ハインリヒ。

国王の影武者としてはダンデリオン=シュバイツェル。

国王の守護騎士としてはグエン=ハインリヒ。

物語の主人公を導く者としてはグローリア=ヘンリーと名乗る。

多い。

 

なお『ダンデリオン』は表向き、今代フリューゲルヘイゲン国王の本名であり、グエンとグローリア両名に与えられたコードネームでもある。

そして作中にはもう一人のグローリアが居るので、ここでは便宜上ダンデリオン=グエン、ダンデリオン=グローリア、グローリア=シュバイツァーと呼び分けることとします。

 

フリューゲルヘイゲンは創国期から影武者制度を密かに受け継いできた、少々特殊な構造の国。

表向きは武賢に優れた中堅所。

実態は、武に秀でてはいるものの賢知が不足しているシュバイツェル王家の血筋をカバーする為に、ハインリヒの血筋が極力目立たない方針で国全体の手綱を引いている鷹の爪な国。

シュバイツェル王家という弱点さえ無ければ、あるいは大陸一の大国とも肩を並べて立つ国力が備わっているのだが、歴代ハインリヒ家は理知的かつ欲が薄く、これ以上めんどくさいのは嫌だ! の一念で天秤を頑なに固定し続けてきた。

そんな事情を知る者達はシュバイツェル王家を光の王家、ハインリヒ家を影の王家と呼び。

シュバイツェルの正統なる王を光の鷲、王の影武者を務めるハインリヒの者を影の鷲と呼ぶ。

 

ハインリヒ本家を筆頭にした初代宰相の血を継ぐ影の一族には総じて苦労性な所があるので、面識が無くても一目見ればなんとなく分かり合えるらしい。

王子として育てられたダンデリオン=グローリアも、ハインリヒ家の長男グリューエルと対面したばかりの頃は友好的な何かを感じ取っていたのだが、堅物故に自覚も無く突き放してしまったグリューエルの態度で踏み込めないと悟り、自ら線を引いて離れた。

以降ダンデリオン=グローリアにとってグリューエルは一臣下の枠を出ず、物語の真相を知ってからは怒りと憎しみを向ける対象となり、命懸けな兄妹喧嘩の後は憎しみの矛先を外した。憎しみが綺麗さっぱり無くなった訳ではないけど、事あるごとに噛みつくほどでもない程度に収まっている。

 

責任感が非常に強く、自分こそが偽りの国王であると察しても、以後十年以上周りに自覚を悟られることなく賢王として舵取りを続けていた。

様々な物事に関心を寄せ、不可解なことがあれば解を見つけ出すまで積極的に探求し続ける研究者や学者のような一面もある。

そのくせ妙に割り切りが良く、ダンデリオン=グエンに玉座を返すべきだと感じたら迷いなく席を譲り、その後であれば友人を救う為に自分自身を使い捨ての道具にすることも全く厭わない。

おそらくダンデリオン=グローリアの本性は後者で、国王という縛りが無ければいつでもどこでも最適解を選び取り、それが自身に累が及ぶものでも他者に良い結果を残せるなら躊躇いなく実行するタイプ。

良く言えば情に厚く、端的に言えば自己犠牲主義者(本人はそう思ってなかった)。

 

理想的な王、得難い無二の将ですが、頭が良くて実行力も覚悟も標準で備わっている為に、並の人間の感性とはどこかズレていて、大概は付いて行けません。

うっかり見過ごしていると自分自身も使える道具に認定しちゃうので、近くに居る人達は思いとどまらせようと物凄く必死。特にダンデリオン=グエンは、ダンデリオン=グローリアのズレた一面に感情を振り回されて大変です。

ほっといたらどこまでも行ってしまう女性だから、自分なんか本当は目にも映ってないんじゃ……になりがち。

愛情は深くとも、良き妻、良き母にはなれない人です。そこはダンデリオン=グエンが補っていくと思われます。

フリューゲルヘイゲン勢で一番庶民的な感覚の持ち主がダンデリオン=グエンって……それで良いのか、国王……。