黄色の花の物語に登場する大国の元第三皇女で、フリューゲルヘイゲン王国の王妃。
フルネームはルビア=フォルシエント。
王妃になってからはルビア=シュバイツェル。
常に十手百手先を見据えて動いている計算高く慎重な女性だが、その全ては世界でただ一人、愛するダンデリオン=グローリアの為。他は自分自身すらどうでもいいと思っている。
表向きの夫ダンデリオン=グエンには好感度の欠片も見せず、それどころかボンクラ呼ばわりで見下し、ダンデリオン=グローリアを失わない為の協力者あるいは共犯者として、長年いいように転がしていた。ダンデリオン=グエンも特に嫌ってはいないし好かれようとも思ってないので、ダンデリオン=グローリアが居れば二人共に問題は無いらしい。
大国からの批判を避ける為にダンデリオン=グローリアがダンデリオン=グエンにルビアとの王子をせっついていたのだが、二度の懐妊で誕生したのはどちらも王女。仕方なくダンデリオン=グエンとダンデリオン=グローリアの長男を王太子に据えた経緯がある。
愛情が介在しない夫婦の間に生まれた王女達だが、真実を包み隠さず全て教わり、かつ三人の親からそれぞれ形は違えど愛情を注がれ大事にされて育ったので、王侯貴族の夫婦なんてそんなものですよね〜と意にも介していない。そして、二人共がルビアの気質を継いでいるので、ルビアとは悪巧みの師弟あるいは悪友に近い仲。子供好きなダンデリオン=グエンは、教育方針について自問自答をくり返すはめに。
物語の真相に自力で気付いた一人。
ゼルエスより早いか同じくらいのタイミングで、これを放置したらどうなるかを見通していたが、ダンデリオン=グローリアの存在が無ければ関わるつもりはなかった。
というのも、ルビアは祖国で厄介者の扱いを受けて育った為、愛国心も大陸への愛着も全く無く、なんなら滅びれば良いのにとさえ考えていたから。
慎重さの代名詞とまで言われる大国の皇帝すら欺き通しているダンデリオン=グローリアがバスティーツ大陸に居たから。彼女がフリューゲルヘイゲン王国を、バスティーツ大陸を愛していたから、皇女との関係が彼女を苦しめてしまうと判っていても、彼女の願いを叶える為にルビア自身を差し出した。
誰よりも悪意に満ちていながら、誰よりも一途で愛情深く、それでいて自己犠牲だとは微塵も感じていない。結果的にダンデリオン=グローリアの側に居られれば良いし、それがルビアの全て。
何故そこまでダンデリオン=グローリアに傾倒しているのかは、ルビアだけが知っている。
ルビアは一にグローリア、二にグローリア、三にグローリアで、その後もずーっとグローリアです。グローリアがどうしたいのかを世界の中心にしているとしか言いようがないほど、グローリアオンリー。
五十くらいに娘二人、百くらいにグエンが入る程度でしょうか。それも、娘二人がグローリアと似た容姿の片鱗を受け継いでいるからなので、結局はグローリアオンリーです。
グエンとの関係も、グエンとグローリアの容姿を重ねてやり過ごしてるような気がします。グローリア様だったら良いのに、とかグエンを相手に平然と言ってそう。で、ちょっぴり傷付いてるグエンを内心少しだけ可愛いと思ってる。
この辺りのルビアの感情は深すぎて読み取りきれてないのですが、言動に出しているほどグエンへの悪感情は無さそうなんですよね。からかって遊んでる感じでしょうか。グローリアに愛されている点では、心底憎たらしくて仕方ないみたいなんですが。
夫がライバル……終生、飽きることはなかったでしょうけど、自分に向けられない視線をすぐ近くで見続けるって、どれだけの苦痛なんだろう。
苦しくないの? って、頭の中でルビアに訊いてみたんですが。
「失う他に苦しいことなどありませんわ」
と、微笑で返されました。
この人、グローリアと出会うまでにどれだけのものを失ってきたんだろう。
全部は見せてくれないので私にも分からないですが、相当根深い闇を抱えている気がします。