梅見月ふたよの創作系裏話

創作物に関する独り言を連ねる日記帳

作品ファイル3『画策シリーズ』

一部分だけ、過去にはてなダイアリーで公開していたシリーズ作品。全四連作。

 

第一作『遠き未来の昔から、いつか来る日の夢を見る』

 国王の横暴によって処刑されてしまった神官の娘三人が、両親の形見である武器を持って神殿から逃亡する。世界を旅して回るなか、弱者の為に力を振るうことを選択した三人だが、やがて辿り着いた地・テクタールに根を下ろして武器を手放した結果、振興した隣国・サシャーバルドの王によって悲惨な結末を迎える。

 末の妹にして主人公・エリミエルには両親から受け継いだ予知能力があったのだが、それはとても不安定なもので、予知している自覚も無かった為に、本来なら避けられた悲劇を確定させてしまった。

 そして彼女は自死の瞬間、最期に見た夢が第三作の未来だったと悟り、千年の時を越えて、自分の子孫であり生まれ変わりでもあるエリミエルに祝福を残し、大神官の導きで再会した姉達や愛する夫と共に天へ昇っていった。

 

 

第二作『shadow fighters』

 生まれつき病弱な公爵令嬢・マリーシャが、亡き母と女王の間で交わされていた約束に従って預けられていた王城を離れようとしたところから物語は始まる。

 約束の期限が切れたことを理由に一旦は王城を離れたマリーシャだが、城下街で暴漢に襲われている男性を助けた際に発作を起こして王城へ引き返す羽目に。しかしそれは、女王がマリーシャを手元に置こうとして用意していた罠だった。

 一般民を巻き込むやり方は卑怯だと被害者の男性を背に女王を糾弾するマリーシャに対し、女王は、マリーシャの母が亡くなったのは公領民のせいだと憤り、二度と大切な人を喪いたくないと涙ながらに訴えた。

 私は母ではないと女王を諭しながらも、治世者らしからぬ行動をしない限りは王城に残ると約束するマリーシャ。一度は丸く収まったかに思われたが、被害者の男性がかつてのテクタール王が侵略した敗戦国・セルビナの王族だったと発覚。

 声が出せない彼を書記官に任命したことをきっかけに、セルビナを含む反テクタール派がじわりじわりと不穏な動きを見せ始め、マリーシャもその流れに巻き込まれていく。

 

 

第三作『画策』

 第三公が治める領地には、決して誰も殺さない盗賊団が居る。軍の追跡をかわして奪い取った金品も女性も全て無傷で返す、一風変わった彼らの中で家族同然に育てられた主人公・レベクは、しかし誰にも言えない、知られてはいけない秘密を抱えていた。

 時が経つほど警戒心を強めていくレベクに対し、頭領・ゼフィルは一計を案じ、レベクの出身とされる村を標的にする。自分が疑われていると直感したレベクは、仲間の掠奪行為と監視をすり抜けて身を潜めようとするが、逃げ込んだ先で待っていたのは、自分を村に捨てた筈の姉王女・エリミエルだった。

 エリミエルを護る為にゼフィルとの対立を決めたレベク。ところが、ゼフィルの正体は第三公の第二子であり、盗賊団の正体は第三公軍の騎士団でゼフィルの私兵、その目的は領地荒らしでもなく第一王女エリミエルでもなく、村に置き去りにされた第二王女のアリエス……レベクだったという。

 第一王位継承者・エリミエルではなく、レベクをアリエスとして公城に連れ去ったゼフィル。客人として軟禁された彼女だが、強要されるのは公人的な勉学のみ。何がどうなっているのか判らない彼女の背後では、姉エリミエルが妹を取り戻す為に公城へと忍び込もうとしていた。

 やがてゼフィルと姉妹が一同に会した時、姉妹に隠された秘密とテクタール王家の罪、テクタール王国を影から支えてきた三人の戦士の存在が明らかになっていく。

 

 

第四作『after the kingdom』

 働きながら学校に通う苦学生・ローズツェリアは、周囲から陰湿ないじめを受けている。それは、彼女が亡国・テクタールの直系子孫であるという噂が原因だった。

 祖母に聞いた話を口にしてしまったが為に広まった噂は彼女を酷く追い詰め、唯一の親友・ミューエミッヒの前以外では一切笑えなくなってしまう。

 しかも、広まった噂がテクタール復興派と反復興派の両方に届き、ローズツェリアは次第に命を狙われ始める。

 やがてローズツェリア一人では対処できなくなった頃、ミューエミッヒが自分を護る影の戦士・白金剣(プラテスエルフェリア)の使い手『エルンテリス』であると発覚、滅びてなお求心力が強いテクタールを復興させて傘下に収めたいイヴルマーニ皇国の庇護下に置かれることになる。

 しかし、政治的な思惑からローズツェリアとミューエミッヒ、残る二人の戦士は皇国の庇護を自分から離れ、様々な因果を辿る旅へ。その際、第一皇子アークトゥルスにされた事が原因で対人恐怖症が悪化。人間に対する不信感がますます募り、単独で行動しようとする癖が身に付いてしまう。

 場所を変え時を越え、命のやり取りが続いた先で待っていたのは、かつてのテクタール王国を知り、ローズツェリアだけを待っていたと告げる謎の少女・レベクだった。

 

 

 こうして改めて書き出すと、ずいぶんヒストリカルな話だったんだなと気付きました。

 私は一人一人の視線を追いかけるタイプだと自分では思っているので、シリーズを俯瞰した時にどう見えるかとかはあまり考えてなかったです。悪癖。

 そして、この画策シリーズには、なんかやたらと壮大な因果が見え隠れしている。黄色の花の物語は元凶が一つはっきり見えていますが、こちらには元凶なんて一つとしてありませんからね。それぞれの都合でそれぞれが勝手に動いてる感じです。

 after the kingdomは結構現代向けな気はするんですが、まだ私の手には余るかなあ……。

 

 今日はここまでです。